たたらシンフォニックオーケストラ~刀剣男士のための
第5章 「白雪姫より口笛吹いて働こう」初演奏と遡の始動
市村鉄之介…土方歳三の小姓であり、 美男で知られていた土方から寵愛を受けた男だ。
しかし、本来ならば土方の命令で蝦夷地から脱出するはずだった市村はなぜ瀕死の重症になってまで土方を守ろうとしたのか、その答えが知りたかった。
「土方さん、自分は土方さんの役に立ちたかったんです。」
「あぁ!?」
血をゴボリ、と吐きながら市村が言葉を紡ぐ。
「自分は、ドジで間抜けで、強くもなて土方さんには守ってもらってばかりでしたよね。だから、遡殿の提案に乗ったんです」
「だけど、それでてめぇが死を選んだことは納得できねぇな」
「いいんです。だって今、自分はとても幸せで満足してるんですから。いつも守られてばかりだった自分が、土方さんの役に立てたんですから…あぁ、もう何も思い残すことはないです」