たたらシンフォニックオーケストラ~刀剣男士のための
第5章 「白雪姫より口笛吹いて働こう」初演奏と遡の始動
そして今、その若き武士の命は途絶えようとしている。もちろんこうなる事も予想出来たし、それを市村にも包み隠さず全て話した。
「あの…市村君、大変言いにくいことがあるんだけど…」
「何ですか?」
土方ラバーマスクを丁度被ったところで市村に話しかける。
「未来ではこの戦いで土方さんは戦死することになります。だからもし貴方が身代わりになれば君が戦死することになるかもしれないです」
遡も最後まで告げるか悩んだが結局、伝えることにした。しかし市村は死の宣告に近いことを言われたのにも関わらず、やけに冷静であった。
(もっと動揺するかと思ったのになぁ)
そうなれば宥めるのが大変だな、と思っていたが、次の市村の言葉にそれは消えた。
「もし土方殿の命が助かるのならば、いつでも自分の命を差し出せます。私は…土方殿に生きてもらいたいのです!」
だからこの役を引き受けました。若き武士は健気に笑った。