たたらシンフォニックオーケストラ~刀剣男士のための
第5章 「白雪姫より口笛吹いて働こう」初演奏と遡の始動
改めて土方を見る。撃たれた所から夥しい量の血が溢れていた、死ぬのは時間の問題に思えた。
「兼さん、、もしかしたらこの人、本物かもしれない。」
顔を再確認すると、不安そうに国広が言う。確かに見れば見るほど土方さんにしか見えなくなってきた。
しかしここであることに気づく。土方は夥しい量の血が流れているにも関わらず、顔色が変化していない。本来血が流れれば顔色はどんどん青くなるはずだ。しかしその兆候はこの土方には見えない。ならば、、
「こいつは、土方さんそっくりの面を被っているんだ。」
現世ではラバーマスクと呼ぶらしいが、主がよく見る「すぱい映画」によくそれが変装道具として出てきていた。
案の定、胸元を調べると皮膚と同じ色の薄い皮が重なっていた。全員に目配せをしてから、それをゆっくりと取っていく。
ペリペリと顔を剥いでいくと、予想だにしなかった人物の顔が現れた。
「てめぇ、、市村鉄之助じゃねぇか」