たたらシンフォニックオーケストラ~刀剣男士のための
第5章 「白雪姫より口笛吹いて働こう」初演奏と遡の始動
判断に迷ったが、少し離れた所から観察することになった。そこから支給されている双眼鏡で改めて元主、土方を見る。
漆黒の髪の毛、精悍な目、威厳溢れる態度。どれをとっても自分が最後に見た土方本人の物だった。
「くそ、、どうなってやがる。遡は歴史を修正するんじゃねぇのかよ。」
もう時間が無い。土方戦死まで一分を切った。その時相棒、国広が何かに気づいた。
「兼さん。あの人、本物の土方さんと刀の持ち方が違うよ。あいつは偽者だ!!」
確かに刀の持ち方が違うように見えるが、顔は同じだった。それでも偽者を取り押さえるべきだ、と思ったその時。
「ぐぁ!!」
一発の銃弾に貫かれ、土方は地面に倒れこんだ。
しかしまだ周囲にいる人間は誰も気づいていない。それを狙って、ここぞとばかりに和泉守達が土方に近づく。