たたらシンフォニックオーケストラ~刀剣男士のための
第5章 「白雪姫より口笛吹いて働こう」初演奏と遡の始動
それは一瞬であった。
国広が降り下ろした刀を男は右に振り払うと、鈍く光る黒い鉄塊を取り出した。
その事に国広が気付いた時にはもう遅かった。至近距離で銃が火を吹く。
「国広ぉぉぉぉ!!」
崩れ落ちる相棒に向かって叫ぶ。しかしその声に国広が反応することはなかった。
「てめぇ、ぶっ殺してやる!!」
抜刀してあの憎たらしい男へと突撃しようとするが後ろから薬研に羽交い締めにされる。
「離せ薬研、俺はあいつをぶっ飛ばさねぇと気がすまねぇんだ!!」
「落ち着いてくれ和泉守の旦那。今行ったところで国広の二の舞になっちまう」
薬研の正論に返す言葉が無かった。