第9章 体育祭
暗闇の中私は歩いている。
どうして歩いてるのだろうか。前も後ろも真っ暗で見えない。
多分…これは夢なのだろう。早く起きたいんだけど…
_コツコツ
前方から靴の音が聞こえる。
私は目を細め、よく見た。前に人がいる。しかも複数。
まただ。あの夢をまた見ているのか。
やはり、あの時の夢。タツ、マモ、神谷さん、小野さんがいる。
やはり、そうだ。話しかけたらついてくるなって言われちゃうから…
私はタツ達がいる方の逆方向を走った。
白い光が近づいてくる。
私はその光に飛び込んだ。
天井だろうか。白く、所々汚れている。
薬品の匂い。保健室だろうか。
隣から寝息が聞こえる。
タツが隣にいた。
整った顔立ち。大きな手。
私の手を握ってくれていたのだろう。
とても温かい。
私はタツの頭を撫でる。
「タツがいないと私、死んじゃうよ。」
私はポツリと呟いた。