第10章 打ち明ける➡︎打ち解ける
時間が止まったように思える。
達央とキスしたという実感が湧いてこない。
私のファーストキスを何なりと奪い去ったからだ。
「遥?どうしたんだよ」
達央が私の顔を覗き込む。 恥ずかしい。
「顔真っ赤!耳まで…熱?」
達央は私のおデコに大きい手の平を当てた。
「ちがっ…あの、ね?今の…ファーストキスだったから…キスとか初めてで…その…ごめん。」
あぁ、今まで彼氏を作ったことのない私が恥ずかしい。
高3にもなってキスとかしていなかったなんて…
私は達央から視線を逸らした。
「もう1回。もう1回しよ?今のはなかったことに…」
「え?もう1回?」
達央は顔を近づけてくる。
整った顔立ちで根は優しくて、人想いな大好きな達央が顔を近づけてくることが私にとってはありえなくて…
でも現実で…
私はゆっくりと目を瞑り、唇と唇を重ねた。
車内にリップ音が『チュッ』と響き渡る。
「はい、ファーストキスいっただき!」
無邪気に笑う達央が可愛くて、かっこいい。
私の心臓は破裂しそうなくらいドクドクと脈打っていた。