第7章 【VIP】首無魔騎士の部屋
「抱っこ……」
いつもの触れ合いを求められ騎士は半目で振り向く。
「ほーら、帰宅した主人が抱っこって云っているのに聞けないの?」
ミュラーは腕を広げる。
「はい、…はいっ、主!」
自分より小さな体を抱え椅子に座りいつものようにゆるやかに揺する。
「取るね」
いつもとは違うやわらかな胸に頭をもたせかけ腕を伸ばす。
銀のフードの中に手を入れ菫色の髪に指を絡ませ頭部を引き出した。
膝の上に美麗な面を乗せ挨拶代わりに頭頂に口付ける。
「今日はどうしたの?」
腕で抱えた頭に主は問う。