第6章 吸血鬼の部屋。
「ッ、ふぅ…」
シーツに横たえられるとミュラーはため息をつく。
「今日もゆっくりしていくんだろう、レディ?なら寝台を思い切り汚そうじゃないか。震えているのも寒いだけじゃないんだろう?」
寝台に腰掛け寝ている彼女の飲みさしの茶を口にしてヴィアトリクス。
吸血は強い快感と貧血を肉体に及ぼす。
こんな細い婦女の体などひとたまりもなく覚束なくなる。
だからいつも夜明けまで彼女と同衾するのはもう何度目だろうか。
寝台を汚せばそれを取り替えに僕を呼べる。
金銭や物品の授受にこだわる彼女は主人に抱かれる道を選んだ。