第6章 吸血鬼の部屋。
「ルチアの花を買ってやれば良いのに」
茶をはふはふと飲むミュラーの背後にまわりその服の襟元を緩めながらヴィアトリクス。
「ルチアを見返りにするなど出来ません」
街角で花を売るルチアを買えば、少年を自由にできる。
でもそれを彼女は望んでいなかった。
血の見返りに少年を勝手にせず――。
「さあ、飲んで」
少年の主人が解いたリボンタイを床にかなぐり捨て後ろにあるジップを下ろし衣服を肩下までほどく。
「レディ、相変わらず美しい肌だ」
ヴィアトリクスの並べる美辞麗句に彼女は鼻を鳴らした。