第5章 花売り【ドルイアド】
剣の鞘を握り締め、俯く。
彼が呼ばれないのは顔を上げない所為もあった。
主人同様、人と目が合うのが怖いのだ。
武人とその精だけに戦場では一騎当千の侍でもそれ以外ではからっきしである。
「ねぇ、君は何をするの?」
声を掛けられ、恐る恐るという体でドルイアドは顔を上げる。
「俺は…体を売るのは苦手なので、切ります」
それは本当だ。
出来ない訳ではないが、彼の性技はひどく拙く、彼の精神自体がそれを拒んでいた。
だから何かをすればそれはあまりにお粗末になり、されれば体が固まり勝手に涙が溢れる始末だ。