第5章 花売り【ドルイアド】
剣の精霊として生まれたのだ。
剣として振るわれたいが、騎士は街住まいが何だかんだで気に入っているのか暫く帰る気はなさそうだ。
三人の男娼見習いはポツポツと声を掛けられ店の説明をしたり、物陰に消えたりする。
幼さのあるルチアやフィガロ、中性的な美しさのあるユリシスは人目を引く。
しかし自分は――、とドルイアドは俯く。
跳ねる癖っ毛にそばかすの散った頬。
肌の色も白くはない。
ただギラギラした目があまりに愛らしくなく。
その真っ赤な目に合わせて主人がこの服を誂えてくれたが、細い彼には大きくすら見える。