第1章 娼館【Night raid】
ベルニナ「もー、ボクのソープ無い!早く!早く持ってきて!今すぐ」
浴室で騒いでいるのはサキュバスのベルニナだ。
自分がギリギリまで寝坊をし、身支度の時間が押しているが、全く省みる気は無いようだ。
彼の従者のマーマンのフィガロがはいはいと気ぜわし気に応え浴室の戸の中に体用の液体ソープのボトルを投げ入れる。
ベルニナ「あーもーちがっーうっ!今日はパッションフルゥツの気分じゃないの!ピーチ、ピーチなの!」
終に浴室の戸が開き全裸の彼が水浸しのまま這い出てくる。
びちゃびちゃと廊下に水を垂らしながら物置きへと向かう。
フィガロ「旦さん、ちょ、やめて下さいよ、濡れるし汚れますよ」
渋面のフィガロだがそんなことは意に介さず物置きをあさり目的の物を見つけてご機嫌だ。
ベルニナ「あったぁ!もうっ、フィガロは気が利かないんだからぁ♪」
再び廊下に水を撒き散らしながら浴室に向かう。
フィガロ「旦さん、あのっ、あぁっ!」
主人に苦言を呈しようと一歩踏み出した彼は水に足を滑らせ大きな溜まりに尻餅をつく。
が、それでは終わらず濡れた足は青緑の鱗に覆われだし、小さな踝は消え水掻が生える。
フィガロ「もー、旦さんのばかばかばかぁ!歩けないじゃないですかコレぇ!」
ベルニナ「あ、ごめんね!じゃあフィガロも一緒に入ろっ♡お腹すいてきたしちょうどいいや〜」
近付いてくる主人に怯えフィガロは尾を床に擦り後退る。
ベルニナ「フィ〜ガロ♡ボクとあ、そ、ぼ♪」
ズリズリと引き摺られ、なす術もなく水中の戦士は陸上での殉職を覚悟した。