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愛のNight raid

第12章 懐かし語【吸血鬼主従】


一一少年は奴隷であった。いつからそうだったのか思い出せない程の年月彼は隷属に着いていた。
勤勉だった少年は主人の持つ書物をそっと持ち出し読むのが好きだった。
だが、それはやがて明るみに出て彼は酷い折檻を受け前より下の身分に落とされる。

少年はそっと手を彼に見せた。
中指にぎっちり食い千切らんばかりに銀の輪がはまっている。
魔物との契約の証だ。

彼も聞いた事はあった。
金持ちの家に子飼いにされている魔物はその家の従属と契約を結ぶ。

従者がもし逃げ出す様な事があっても悪魔達は契約者の居場所を探すの等容易い。
そうして従者達に終生の勤めを課すのだという。

「僕は一番位の高い者と契約させられましたからじきに追手がやって来るでしょう。主人の小銭を掠め取り身一つで飛び出し魔物の街の中ならば少しは誤魔化せるかと逃げ続けて参りましたが路銀も尽き……もう疲れました」
少年はポロポロと涙を零す。

「子供、私と契約するか?」
彼が尊大に聞くと少年は首を振る。
契約を上書きし、呪縛から逃れるならば最初に契った魔物より位が上でなければいけない。
それを懸念しているのだ。
「位が高いと云っても精々百年公無勢であろう。私は吸血鬼第十三位の孫、貴族(ロード)の者だが不満か」
更に尊大に彼が云えば少年は泣くのを止めて口をポカンと開けた。
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