第12章 懐かし語【吸血鬼主従】
まだこの館が無い程の昔の事一一。
ヴィアトリクスと彼の後見人は度重なる魔王の進軍から逃げ出した民を受け入れる為、人間界のNightRaidのある街の様な魔物達の区域を整備する事に尽力していた。
「ヴィアトリクス、私は大事な商談があるけれど貴方はどうしますか?」
道がまだ作られていない為古風に馬車を駆り街中を走り抜ける。
その車中で派手なパッションイエロォのロリポップキャンディを舐めながら彼は肩をすくめた。
「いつも通り。バァルで待ち合わせよう」
つまりはヴィアトリクスは同行しない。そういう事だ。
今度は婦人が肩をすくめる。
婦人は魔物世界との外交官だ。
その為、貴族を名乗る彼の人間界での後見人をしていた。
魔物は誰も此方の世界では後見人を必要としている。それは慈善団体だったり、法曹家だったり婦人の様な外交を生業にする者だったり様々だ。