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愛のNight raid

第11章 竜王の部屋


痛みは無いもののこれから起こる事に僅かに浮かんだ恐れが鳴りを潜めていく。

「どうだ?まだ落ち着かぬなら我が歌でも唄ってやろうか?」
弾んだ声で云うデュランダルに頷き、また這いずって彼の側に転がる。
そうしている間にも腹はふくふく大きくなっていく。

彼は優しくファレンをかいなに収め布に包ませ伏せて座る。
「我が母の教えてくれた歌だ」
云い、すぅ、と息を吸い王は口を開く。
出てきた言葉は異国語で何を示しているかは解らない。
ただ優しいメロディーから子守唄の様な物なのだろうかと彼女は思った。
それに聞き入りながらふぅ、ふぅ、と段々と上がる息を整えようとする。

「ふっ、ぅあっ」
ふと、チリリと痛みを感じて呻く。
気が付いた彼が歌を止め彼女を見下ろす。
「痛むか?」
こくこくファレンが頷き返せば王はパァと笑む。
「新たな子の誕生の時ぞ、仮初の妻よ!」
バサッと風を起こし彼の背中の翼が立ち上がる。
彼自身も抱いた腕で潰さないようにしながら彼女を仰向けにした。

「よしよし、我慢せず苦痛なら叫べ、そして解放するのだ。開けよ、広げよ」
云いながら優し気に指が腹を撫でる。
「は、はいっ」
息が勝手に上がり食べ過ぎて戻してしまいそうな時の様な閉塞感を逃がそうと腹を擦った。

一一其処はふっくら盛り上がり今や腕では抱ききれない程に膨らんでいる。

王はどん、と後ろ足で床を叩く。
「王、参りました!」
すぐさま扉が開き三人の従者がなだれ込んでくる。
「ひゃあっ」
下半身は丸出し上半身も前を広げた状態の顕な姿を見られミュラーは悲鳴を上げた。
さっと王が布を彼女を隠すように包み直す。

「失礼します、奥様。卵が割れない様産婆をさせて頂きます」
ルチアが畏まって礼をし、後から何かを持ったドルイアドとユリシスが続く。

二人は彼女の側から僅かに動いた王に礼をしながら下手に周る。
二人が広げたのは担架だ。
それを彼女の足の側に広げる。
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