第11章 竜王の部屋
「はらみ?」
トントンとつつかれファレンは首をひねる。
「我の子を産ませてやる」
ぐりっと爪が肌に埋まった。
「ひ、や、無理」
わたわたと慌てるがスッと王はサイドテーブルの上にあったショットグラスを手に取り中身の濃紅の液体を嚥下する。
そのままじたばたと藻掻いているファレンと唇を重ねた。
「ふぐっ」
彼女の口に生温いどこか覚えのある味の液体が注がれる。
「良きに計らえ」
ふっと笑う王に眉をつり上げる彼女。
「あ、の……これ、何?」
頬を赤く染めハァハァ息を荒くするファレンにクツクツと彼は笑う。
「我の生肝酒だが口に合わぬか?」
彼の言葉にハタリとファレンは動きを止める。
「前に屍鬼共が割物にしてお前に飲ませるからと持って行ったから飲んだ事があるだろう?」
口に手をやり彼女はそれに思い当たる。
「魔人化……」
「そうだ。我をそのまま受け入れては裂けてしまうからな。我の血肉の溶けた酒ならば、一時的に肉体が我ら竜族の者に近付く」
手酌で二杯目を注ぎそのグラスを彼女に握らせて王一一。
「我とて無理強いはせぬ。至高の快楽を識りたくば、自ら我の酒を口にし仮初の妻となる誓いを立てよ。なぁに、それを飲むだけで良い。後は我が善くしてやろう」
天使の様な眩いばかりの美貌に微笑まれファレンはそろそろとそれを口に運ぶ。
ちびっ、と一口。残りをぐいっと勢い良く飲み干す。
「好い、好い。初い愛い猫や。我が高嶺をみせてやろう」
指がショットグラスを床に放り、再び下肢に伸びる。
「お前の蜜の様に甘い声を我に捧げよ」
云いながら王の指が狭間に入り込む。
投げ出された足がピクンと震える。
「あっ、やぁ、ン、ひゃあ、あっ、うぁっうっ」
指がぐちゅぐちゅと湿った音をさせながら狭間を這う。
指を体温に馴染ませそれが終わると一番奥に触れる。