第11章 竜王の部屋
「名を名乗れ」
凛、とした声がした。
ファレンは部屋の奥を見る。
一一玉座があった。
それもまっ金金の見ているだけで目が痛くなりそうなロココ調の。
そしてその上には眩いばかりの美貌の人物が座っている。
まるで金糸の如き長い髪に鍛え上げられた体には布一枚を羽織るのみだ。
一一ただとんでもない人物なのはそれだけで判った。
「ミュラーファレンです」
名乗れば半裸の人物は足に履いた金のサンダルの踵をカンと床に打ち付ける。
どうやら先程の音もこれらしい。
「頭が高いぞ、伏せよ」
何なんだ、と思いながら床に座る。
「頭が高いと云うておろう。下げよ、伏せ、我が良いと云うまで上げるでない」
カンと再び踵を鳴らす『自称、王』。
頭を下げる。
「もっとだ。地につけよ」
云われて仕方なく顔を床につける。
と、カツンとサンダルが鳴る、一一そして、ぬける様な白い指に髪を掴まれた。
そのまま顔が引き上げられる。
「い、いたっ」
「誰の許しを得て声を上げている?」
髪が離されそのままガクンと床に倒れ伏す。