第10章 【VIP】屍鬼の部屋
知性も高く教養もあり、社交の場にも連れて行けるし魔物達と剣を交えるような場面でも自軍を守り戦う術を心得たエルブは富裕層の側付きとしてもてはやされているのだ。
「後で三人で洗いっこしましょうね」
「はい、主さんがそうしたいならば是非に」
頭皮から汚れを絞る様に洗われ髪を優しく指で揉まれ最後にオイルとソープで顔を洗われすっかり全身の装いを落とされる。
シャワーで全て洗い流すとミュラーは湯船に入る。
「ではごゆっくり……」
襷がけを外しながらユリシスは浴室から出ていく。
一一決して崩れない笑顔は、何だかとても寂し気に見えた。
ゆっくり体を温めふわふわの夜着を纏い風呂場から出れば部屋の中にはじゅわりと唾の出る肉の匂いに満ちている。
見ればテーブルには猩々緋のクロスがかけられその上には白い皿が二つ並んでいた。
磨かれた金塗りのシルバーが輝く。