第10章 【VIP】屍鬼の部屋
「特別ディナーを……」
「悪いけど今夜は主さん一人で風呂サ入ってくれやぁ。その間に用意するからなぁ」
二人がニコニコと笑い合うのは歳相応の子供らしくて愛らしいな、と主人は笑い頷く。
風呂場に入り服はダストシュゥトへ。
一一ここに入れておけば朝までに綺麗に服はクリーニングされてくる。
風呂場に入る。
綺麗でシンプルながら細々した調度品は金で統一され格調高い。
湯は張ってありタオル等も用意されている。
綺麗な湯船を汚したくなくて体やらを洗うことにした。
シャワーのノブを回していると戸口が開く。
「今日はこのおじがヌシに代わって洗いますね」
靴を脱ぎ服は襷かけした紐で捲り裾は帯に挟み足を露出したユリシスが入ってくる。
「おじって歳なのね?」
椅子に座れば正面の鏡に映るユリシスが頷く。
正に好々爺という笑顔でたっぷりソープを泡立てたスポンジをミュラーの体に這わせる。
「我等はらかたは屍故、年齢と中身は比例しないのです」
一一わたくしは祖母が吸血鬼、母が南方のエルブの出てありましたから。
と、ユリシスは締める。