第10章 【VIP】屍鬼の部屋
「あーるじさん、おかえりさっ!今日はいつもおれっちを贔屓してくれる主さんに特別サーヴィスを提供するぜぇ」
いつものように娼館におもむいたファレンはぎゅっとマリアクレアに抱きつかれて相好を崩す。
「特別サーヴィス?」
いつもの朝までのコースを選び精算を済ました彼女は愛らしい少年に問い返した。
「おうっ、ユリシース!」
少年に呼ばれ部屋の戸が開き白銀の髪に褐色の肌の青年が入ってくる。
「主さま初めまして。マリアクレアの従者、ダンピールのユリシスと申します。我がヌシを贔屓下さり有り難うございます。今夜はわたくしもサーヴィスさせていただきます」
ぺこりと青年は頭を下げた。
白いアラビアンな白い巻布で全身を覆い、足には細い編み上げのついたサンダル姿だ。
銀色のキラキラと輝く髪は金の輪で頭の後ろでくくられている。
「おれっちの体の提供ぬしさ」
マリアクレアが胸を張りユリシスは苦笑いした。
「よろしいですか、ファレン様」
ユリシスに問われたファレンは頷く。
「今日は二人で何をしてくれるのかしら」
云えば二人は目配せし合い微笑む。