第9章 【VIP】吸血鬼の部屋
「じゃ、我が君は下で」
服を脱ぎ終わり裾に小さなコットンレースの付いたシャツだけの姿になったルチアは吸血鬼の眷属としての怪力で主をベッドに押し倒す。
「初めては女性優位の方が痛くないと申しますし、ファレン様、ささ、どうぞ」
笑顔で小さな従者は云い、赤くなって隣に寝転ぶ吸血鬼とおぼこく見つめ合う女主人を抱えた。
そして腰の上に座らせる。
「ルチア、お前ッ」
紳士、老獪と云わしめた吸血鬼が真っ赤に顔を染めて叫ぶ。
「黙れ穀潰し」
ルチアは冷たく云い笑顔を騎乗した婦女に向ける。
「さ、ファレン様……」
赤らんだまま目を白黒させている彼女の腰に手を添えた。
「ルチア、私どうしたらいいか分からないわ」
童女めいた無垢な声を上げる婦女にルチアは名の通りの聖女の様な顔をする。
真面目で美しい、慈しみに満ちた笑み。
それに導かれる様に彼の手に自らの掌を重ねる。
「ほら、大丈夫」
ぐいっと思い切り力を入れ体を落とす。