第22章 赤い船
今夜もまた宴
久し振りなんだから当然だろ?、と船長の一声で船上は昨日以上の盛り上がりをみせた
最初こそ、昨日の様にシャンクスとイリスを中心にした人だかりが出来ていたが、宴が進むにつれ各々好き勝手な場所で呑み始めている
今、イリスの周りには相変わらず顔馴染みの幹部達が多いが、シャンクスはいない
何故か?
それは呑みくらべ大会に参加しているから
船内でのケンカはご法度
しかし、血の気の多い若者は何かと優劣をつけたがるため呑みくらべや大食い、マストの早登り、船内で出来るスポーツ各種の大会は日常的に開かれているのだ
部下に乗せられ引っ張り出された船長は、今まさにグラスを飲み干している所だった
イリスも一緒に出ようぜ、と言う誘いを丁重にお断りしたら、代わりにグレイスを引っ張って行った
ほぼ強制的に連れて行かれたグレイスはシャンクスの隣でカパカパとグラスを空けている
(以外と酒豪なのね……)
見た目とは裏腹の呑みっぷりに喚声があがる
煙草といい、酒といい、この船に乗ってから今まで知らなかったグレイスの一面を垣間見る事ができた
副船長ベックマンの横で二人の呑みっぷりを観戦していたイリスはこの船の航路について尋ねてみた
レッドフォース号が向かう先が自分の目的地に近ければいいなぁなんて思いながら
「この船の目的地か?そりゃイリス、お前だよ」
「え?」
何でも、シャンクスはイリスに会いたいが為にレッドラインを越えて来たのだと言う
当初、新世界側でイリスが来るのを待っていたのだが、どれだけ待ってもイリスの噂すら掴めず時間だけが過ぎていた
痺れを切らしたシャンクスはレッドラインを越えてグランドライン前半の海まで足を伸ばす事にしたのだ
当然、四皇が新世界を出たという情報は海軍や他の海賊に瞬く間に広がり、行く先々でイリスと出会った島のような目に合っていた
「…………えっと、そのゴメンなさい」
自分が原因であんな騒ぎになっていたなんて知らなかったイリスは何だかとっても謝りたい気分だった
「ははっ、イリスが謝る事なんて無いさ、俺らが来たくてここに来たんだからな」