第22章 赤い船
宴の翌日
レッドフォース号をくるくると動きまわる者がいた
昨夜のお礼に、船内の家事を手伝う事にしたイリスである
朝からコックと共に朝食を作り
船員達と掃除をした
女子の手作り料理に食卓はいつも以上に戦場だったし、船員達はイリスと仲良くなるチャンスだと張り切っていた
しかし、側には何故かシャンクス
時折、幹部が増える
働くイリスの周りでしゃべりかけたり、たまに手伝ったりしているので、船員達はなかなか思うように話せないでいた
今も洗濯物を干すイリスを遠巻きに見ながら日陰に何人か幹部がいる
シャンクスは昨日グレイスから聞いた内容を入れ替わりやって来る幹部に話していた
「なぁ、お頭~?イリスには話さ無いのか?」
当事者だろ?とラッキー・ルウが肉を片手に尋ねる
視線の先に話題のグレイスがイリスと共にいるのが見える
「あぁ~こういう事は本人の口からがいいだろ~?」
日陰でだらだらしながらシャンクスは、イリス達の黄色い声に耳をすます
「あいつもそう言ってたから、その内話すだろうよ」
シャンクスとグレイスの間でも同じような会話がなされ、タイミングはグレイスに一任された
今の関係を見るかぎり、護衛であると打ち明けても悪い方向にはいかないだろう
むしろ怒りの矛先はドラゴンに向きそうだ
「父親か……俺なら片時も離せないよ」
もし自分にあんな娘がいたら………
こんな危険な海を一人で旅なんてさせられない
心配で気が狂いそうだ
きっとドラゴンも同じ思いだっただろう
それでも旅に送り出したのは
イリスの意思を尊重したのか
それとも、17年間放置していた自分に止める権利が無いとでも思ったか
はたまた、安心できるぐらいイリスを鍛えたのか…………
シャンクスはイリスを見つめ、改めて時の流れをかんじて目を細めた