第22章 赤い船
そんな経緯で出会った二人だが、共に過ごすうちにイリスに対する当初の感情は消え失せ、彼女自身に興味を持ち始めた
今ではグレイスも心から旅を楽しみ、イリスを友として大事に思っている
それに
「イリスちゃんは未来の継娘かもしれないでしょ?」
グレイスがドラゴンと結婚すればイリスは義理の娘
何処までもポジティブで必ずドラゴンと結ばれると思っているグレイスは、先の展望を語る
ドラゴンの愛娘、あたえる影響は多大で仲良くなって損は無い
もしかしたらドラゴンへのアピールを後押ししてくれる存在なるかもしれない
そんな打算的思惑も無かった訳ではない
「私の中ではもう家族なのよね~」
そう継母と継娘が仲良く旅をしているようなものだ
肝心の二人の関係を取り持つドラゴンからの了承な無いが、必ず妻の座を射止めてみせると意気込んでいる
「まぁ…………思いは一緒ってことでいいのか……?」
根本的な理由は違うが、両者相手を家族の様に感じているようだし、疑問に思っていたグレイスの身元もハッキリしたので質問を終える
グレイスがふともらす
「なんで怪しまれちゃったのかしらね~?」
グレイスはただ旅を楽しんでいた
常に自然体で、何処かに連絡を取っている訳でも無い
本当にシャンクスが言うように東の海にいたのが不自然と言う理由だけでバレてしまうものなのか?
そう疑問に思っているとシャンクスが
「そりゃ~半分はカマかけてたさ、決定的だったのは“覇気”だな」
曰く、イリスが“覇気”を使った時も淡々としていたかららしい
東の海から出た事の無い者には馴染みのない覇気に驚きもせず対処したので、グランドラインか新世界経験者だろうとあたりをつけていたのだ
「それに、俺の覇気にも耐えられる奴を素性も解らないままイリスの側に置いとくなんて事は出来ないからな」
結局はイリスが心配な故なのかと
ため息のもれるオカマを残してシャンクスは船内に帰って行った