第22章 赤い船
仕方なくドラゴンは、あるオカマと連絡をとる
それがグレイスであった
ドラゴンは可能ならばこのオカマと関わりを持ちたくなかった
今も東の海(イーストブルー)という革命軍本部からかなり離れた場所での任務に着かせている
(それが今回は調度良かったのだが……)
何故か?
事あるごとに自分をアピールしてきて鬱陶しいのだ
しかしそれが幹部になりたい為や、力自慢、目立ちたがり等の理由ならまだ良かった
そう、そんな理由ならどんなに良かったことか……
そのオカマのアピールとは 誘惑
ドラゴンに対して愛を囁いてくるのだ
甘い言葉と、しなやかな動作
周りの目も気にせずすり寄り
隙あらば襲いかかってくる
そんな相手に頼みごとををすると、当然のように条件を付けてきた
グレイスからの条件はただ一つ
“任務完了後はドラゴンの側近として使えたい”だった
愛する人の側にいたい、とグレイスはこの護衛任務を引き受けた
そうして偶然を装い出会い、旅に同行し、護衛をしていた
「……と、言うわけなのよ」
説明し終えたグレイスは愛しい男を思いだしてニンマリしていた
逆にどんより顔のシャンクス
まさかイリスの父親狙いだったとは思いもよらなかった
「そうゆう理由かよ……」
グレイスに目を付けられたドラゴンに同情しつつ、イリスの世話を焼くのは任務だからなのかと少し悲しい気持ちになった
片や任務、片や純粋に姉の様に母の様に慕っているのではイリスが可哀想だ
そうグレイスに告げると憮然とした顔でこう返された
「そりゃあ……最初は嫉妬したわ、ちょっとだけよ?」
長く会っていない想い人からの久しぶりの電伝虫にウキウキしながら出ると娘の護衛を頼まれた
いくら娘でも女について熱く語られ、長々と説明されては相手に対してほの暗い気持ちが沸いてくる
最初、子守りをするつもりは無いと断る気でいたグレイス
しかし、ものすごく真剣に“お前しかいない”と言われれば断ることなど出来はしなかった