第22章 赤い船
「あ……ああ、それなら心配ないさ、ただ海王類が近くにいたから威嚇しといたんだ……よ……」
こーんなにデカくて変な形だった
イリスにも見せたかった
驚かせて悪かったな
シャンクスが語るのは覇気を使った言い訳
さすがにイリスの目を見ては言えないらしく、あさっての方向を見ている
(あっ……どっかの誰かと嘘のチョイスが一緒だわ……)
以前出会った剣豪も確かそんなデマカセを……
グレイスがその時のイリスを思いだす
「えっ?そうだったの?ありがとうシャンクス」
記憶の中と同じで難なく言いくるめられたイリス
シャンクスはほっと胸を撫で下ろすが、あれから結構いろいろあったのに、この前も散々言ったのにイリスが学習して無い事にグレイスは深く項垂れる
「グレイスは何でここに?寝る所ないの?一緒にねる?」
イリスにとってはいつもの事
これまでも同じ部屋で寝泊まりしてきた
同じベットで寝た事もある
グレイスに気をゆるし、同姓として扱っているのが良くわかる発言だが、先程まで一触即発状態のグレイスには冷や汗ものだった
シャンクスの方から視線を感じる
鋭く冷たい視線を…………
「わ、私はもう少し一服してから寝るわ」
場所も大丈夫よ、ちゃんとあるから
煙草を持つ手をヒラヒラさせイリスを追いやる
「うん、わかったわ…………それと、グレイスって煙草吸うのね」
知らなかったわ、と驚いた目で見てきた
ヤバイ、と内心あせる
普段は猫かぶってイリスの前では吸っていなかったグレイス
煙草が苦手、との事前情報からそういう風に接してきだからだ
「……えぇ、そうね~たまによ?たまに」
ほほほっ、とイリスを見送り自分もそろそろ…………と動き出そうとしたその時
「グレイスさんよぉ~、俺との話しはまだ途中だよな~?」
がっちり肩を組まれ逃げ場を失ったグレイスは、イリスが表れた事でうやむやになった質問にまたさらされた