第22章 赤い船
何か言いたげなシャンクス
それを察したグレイスは次の言葉を待つ
「………………」
「………………?」
沈黙が続く
いつまでも話出さないシャンクスに一体何をしにきたのだ?と視線を向けるグレイス
するとこちらを見据える鋭い視線と目があった
「一応、遠回しにって考えてみたんだが…………やっぱり直接聞くのが早いよな」
「…っ………!?」
四皇として新世界に君臨する男の覇気が身体をさす
イリスの物とは格が違う
腹に力をこめていなければ意識を刈り取られるだろう
「グレイスいやグレゴリアスが本名か?お前は一体何者だ?」
レッドフォース号船長室
ベットに転がるイリス
真っ赤な顔で今にも眠ってしまいそうだ
こんなに飲むつもりはなかったのに…………
乾杯のためイリスはグラスが手に取ると、一部の者からため息がでた
ただ取りやすい位置にあったので選んだが中身はジュース
海賊船でジュースって、と微妙な顔をすると妙などよめきの後
幹部達が次々と酒を注ぎに来た
そして、
「やっぱ酒だったか~」
「いつまでもジュースって訳は無いよな」
「ちくしょう~大損だぁ~~」
ホクホク笑顔から、どんより顔まで様々
どうやら“イリスが酒を飲めるかどうか”で賭けが行われていたようで、結果はイリスに対して、幼いイメージを払拭できなかった者らの惨敗に終わったようだ
イリスのこれまでの旅の話を終え、たっぷりお説教され終わった頃
シャンクス達の冒険と四皇に成るまでの話になった
イリスは自分達の経験も稀だと思っていたが、シャンクス達の冒険譚はまた一段と奇抜で常識はずれな内容
ルフィが聞いたら大喜びしそうな話にイリスも興味津々で耳を澄ませていた
突っ伏した顔を上げるのも億劫でまどろむ
いつもならここまで泥酔状態にはならない
つい飲み過ぎたのは酒の肴が面白すぎたのと、見知った顔に囲まれて気が揺るんだから
明日の二日酔いに憂いながらこのまま睡魔に身をゆだねようとしたとき
強烈な覇気を感知した