第22章 赤い船
戻ってきたシャンクスの隣にイリスがいるのを見つけた見張りの船員が叫び、船内はあっという間に騒がしくなる
そしてイリスを知る幹部達が集まった
懐かしい古参幹部らの顔にイリスの涙腺がまた緩まる
遠巻きにイリスを眺める船員達は、噂の手配書の本人に会えて鼻の下を伸ばしている
心配だったグレイスはと言うと、意外にもすんなりとイリスの仲間だと認められた
からかってきた下っ端を締め上げ、その力を示したのだ
曲がりなりにも四皇であるシャンクスの船に乗る為にはそれなりの実力がいる
下っ端だろうが、かなりのもの
それに勝ったことで周りを黙らせたのだ
娯楽の少ない船上で喧嘩は最高の見世物だ
歓声に湧く甲板の中心から外れた場所で、戦うグレイスを凝視する二人がいた
船長シャンクスと副船長ベックマンだ
無駄の無い足運びで相手をからかいながら軽くいなしていく
そして、持っている刀を抜く事なく自団の船員に勝ったグレイスに対して二人は目線を通わせる
「ありゃ相当やるだろ?」
「そうだな、確かに東の海(イーストブルー)で用心棒してるレベルじゃ無いな…………」
グレイスと出会った経緯をイリスから聞いていたシャンクスはベックマンの同意をえて確信する
それが不自然であることに
「イリスには知らせないのか?」
「ああ、まだいいだろ」
グレイスに不審なところがあろうがイリスとの関係は良好
イリスに害を加える様子も無く
無駄にイリスを不安にさせる事も無い
思案顔のシャンクスが立ち上がる
(確かめてみるか…………)
シャンクスの考えが分かったのか、ベックマンがほどほどにしろよ、と歩き出すシャンクスの背に声をかけ
シャンクスはそれに片手で答える
そして、盛り上がる中心に向かって今夜はイリスらの歓迎の宴だと告げる
更なる歓声が沸き上がり宴の準備が始まった