第21章 砂の国
スモーカーの部隊にて
散々ダメ出しされた大量の報告書がやっと終わった
こんなに書類と向き合ったのは士官学校を卒業した以来だろうか
いつもは部下(ほぼたしぎ)に任せっきりだったことを反省しながらスモーカーは、“麦わら”についての情報収集のため、街に出ようと思った
だがしかし、外はもう真っ暗
酒場ももうじき閉まるような時間帯
今から行っても欲しい情報が手に入るとは思えなかった
仕方なくスモーカーは兵舎に向かい、“麦わら”を間近で捕らえようとした部下達に話を聞く事にした
夜警の交代の為にある詰め所
そこには数人の兵卒達がたむろして昼間に起こった“麦わら”の追跡と捕縛寸前までいった事について話合われていた
「邪魔するぜ」
突然のスモーカーの登場に皆、弾かれたように立ち上がり敬礼する
すると、ヒラリと一枚の手配書が落ちる
それは床を滑り、スモーカーの足元へとたどり着いた
「こりゃ、例の姉か?」
持ち上げたのはイリスの手配書
初めて見たそれは確かに“麦わら”には似ていなかった
そして、ここにいる奴らはどうやら例のファンクラブ会員とやら、らしい…………
「お前ら、捕まえるのはこいつの弟だぞ?」
「はっ!勿論であります!しかしながら…………」
肯定の言葉の後に語られたのはファンクラブ会員としての義務を果たすべく、会員専用報告書を作成していると言う
呆れはしたが、勤務時間外の空き時間に何をしようと勝手だ
しかしこんな時間まで一体何を話し合っていたんだ?
興味本意で見せてもらうと
“麦わらのルフィ”の姉イリスに対する態度
かなり過保護
男を近づけそうにない
たぶんシスコン
以上の事からモンキー・D・イリスは
家族思いで優しい
男慣れしていない
弟思い
箱入り娘
素直
純粋
清廉
可憐
つきあいたい
好きだ
理想の女性
結婚したい
·········
·······
······
····
スモーカーは読むにつれ、どっと疲れが押し寄せてきていた