第21章 砂の国
イリスの弟、とか
似てない、とか
囮として使える、とか
情報を吐かせる、とか
何やら姉に対して物騒な考えを持つやからがいたので、ついいつもの癖で飛び込んだのだと言う
昔からエースやルフィはイリスに関する会話に素早く反応する
フーシャ村の人達や、特にダダン達山賊の会話にアンテナを張っていた
村人達からは別れて暮らすイリスの様子を聞きもらさない為
ダダン達からは物騒な会話からイリスを遠ざけるのと、イリスに対して邪な考えを持たせない為
身についた習性は、イリスと離れて暮らしていてもなかなか抜けず、今回も体が動いたとの事だ
「なっ!?なんだと?」
海軍が手配書が出ている者を捕らえようとするのは当然だが、ルフィから聞く海兵らの様子からはそれ以上の何かを感じる
“懸賞金6000万ベリー”ならばこのグランドラインでは珍しくもない
騒ぎを起こさない限り積極的には捕らえに来ないはずだと海軍に関しては安心していた
現にイリスの半分の賞金しかないルフィは、そのお騒がせ体質のせいかスモーカーのような実力ある海兵が名指しで捕らえにきている
争いを好まないイリスなら変装でもして、こっそり海を渡るものだと思っていた
しかし、そうもいかない様だと焦るエース
海軍が積極的にイリスを捕まえようとしているとは想定外で、心配そうに黙りこむ
そこへ
「心配いらねぇって!姉ちゃん修行の旅に行ってたから強くなってるさ!!」
「なっ………何ぃ?」
聞けば、自分がフーシャ村を出てからイリスも姿を消したらしい
ガープのクソじじいが勘違いして大変だったみたいだが、マキノに連絡が来ていたらしく問題なかったようだ……………………
いや、問題あるだろ!
いったいどこに行ってたんだよ
ルフィも知らないみたいだし、何やってんだよあいつ
かってにフラフラと……
って、人の事言えた義理じゃねぇか
はぁ……イリスはもっと常識的なやつだと思ってたんだがなぁ~
やっぱルフィと姉弟なだけあるな~
エースは豪快にメシを頬張る弟をみて、イリスに対する心配と不安と安心が高まっていった