第21章 砂の国
サニー号食堂
約束通り、エースにメシを振る舞うサンジ
エースはルフィと一緒になって料理を頬張っている
エースのリクエストに答えて肉料理が多めなのは、別に彼にびびっているからでは無い
ルフィは元々肉食だし、これから内陸を徒歩での移動になるとビビちゃんに聞いて、船内に食料を残して置いても仕方ないと思ったからだ
決してエースの機嫌をとろうとか、怒りを沈めてもらおうなんて事は思っていない
そう決して……
その証拠にサンジは料理を作りながらもエースの会話を拾い、イリスの好物の情報を得ていた
そう、エースにゴマをすっているように見せかけながらも自身の思いは捨てきっていないのだ
笑顔でフライパンを振るサンジ、その中身はエースが注文した“肉増し増し野菜炒め”
ほぼ肉だけ炒めをのせた皿をエースへと運ぶ
普段サンジは料理中はキッチンを離れない
出来上がりを盛り付け、取りに来させる
わざわざ運ぶのはナミやビビにだけ
それなのにサンジが運ぶのはもちろんイリスの情報をもっと得るためだ
別に
エースが怖いとか
逆らえないとか
呼びつけるなんておそれ多いから
なんてことは無い、断じて無い!
そう、サンジの腰が引けて皿が小刻みに震えていようともそんな事は断じて無いのである
「そういやルフィ、お前なんでわざわざ敵に突っ込んで行ったんだよ?」
エースが街なかで見つけた時、ルフィは路地裏で海兵に行く手を阻まれていた
後ろから迫る強敵がいるのなら、普通は囲まれ身動きが取れなくなる前に敵から距離をとったり、別の道に逃げるものだ……
にも関わらずルフィは向かって行った
その海兵らを相手にしていた為にスモーカーに追いつかれてしまったのだからエースとしては腑に落ちない行動
もし、ルフィが海軍から逃げきれればそのまま後を追い、ゆっくりと再会を果たすはずだったのだが、そうならなかった理由を問う
食べる手を休めず隣にいるルフィに話かけると、彼もまた皿に伸ばす手を引っ込めることなくエースの言いたい事を理解した
「それがよ~あいつら姉ちゃんがどうとか言いながら向かって来たからよ~」