第21章 砂の国
たしぎは、ぶたれた頭を擦りながら続ける
ローグタウンを出るとき、スモーカーは本部からの指示を突っぱね、なかば無理矢理グランドラインに入った
それ以降本部からの指示を無視している
必然的に部隊と本部の窓口はたしぎとなり、二人から報告書の依頼を受ける事となった
「勝手な事すんじゃねぇ!」
部隊を率いる者として、自分の知らないところでそんな事が行われていたとあっては示しがつかない
「いいえ、私はちゃんと報告しました。聞いてくれなかったのはスモーカーさんです!」
たしぎは本部から指示があるたびスモーカーに報告していた
しかし、勝手な行動を叱責するものや、ローグタウンに戻れという内容ばかり
なのでスモーカーは、たしぎからの報告を聞き流したり、逃げ回ったりと、無視し続けていた
「それに報告書を書くのは、いつも私じゃないですか!」
「むっ……」
自分の仕事が増える訳じゃないので関係無いでしょう、と言われると頭が上がらない
事務仕事を任せている手前、言い返せない
「だが、多数の命令があっては部隊の指揮が混乱…………」
「大丈夫です!」
いつもより強気なたしぎ
日頃のストレスがたまっているのだろうか
スモーカーを圧倒している
「我々の標的はあくまで“麦わら”です。姉のイリスではありません。」
報告書の内容も“麦わら”についてのみでいいと交渉してあるし、ファンクラブ会員の部下のやる気も上がっている
それに上司であるスモーカーよりはるかに上の上司からの依頼を断れるはずが無い
「私たちはただ、“麦わら”のことを報告すればいいんです。」
頬を膨らまし、幾分拗ねたかんじのたしぎ
確かに、どうせ報告書は書かなければならないのだし、仕事のやり方に文句を言われた訳でも無い
納得したスモーカーは部下を伴って歩き出す
しかしスモーカーは知らない
この報告書が普段書いているものよりも、より精密な詳細を求められている事や上層部の会議に資料として提出されていることを
「今回はスモーカーさんも書くの手伝って下さいね!」
「しゃあねぇな~」
「あ、もっと詳しくお願いします」
「これぐらいで普通だろ?」
「…………もっとキレイな字で書いて下さい」
「なんでだよ!!」