第21章 砂の国
「で、お前もその会員とやら…………」
女が女のファンクラブに?
と、怪訝な目でたしぎを見る
男との浮いた噂ひとつ無いたしぎは、もしかして……………と、思ったが部下のプライベートな事まで詮索すべきではないので言葉を切る
「……………………いや、なんでも無い忘れろ」
「ちょっ……違いますよ!スモーカーさん!!」
スモーカーの言わんとする内容が分かったのか、全力で否定するたしぎ
変な噂が流れてはたまったもんじゃない
「だから!これも仕事なんです!」
自分は会員では無いともう一度しっかり否定してから続ける
会員達はもちろんファンクラブの義務と自分達の仕事として”麦わら“を追っていたが、それ以外の者もちゃんとした理由がある
ローグタウンに現れた”麦わら“を追いかけグランドラインに入ったスモーカーの部隊にはガープ中将と大将青雉から直々に報告書の提出を求められていた
最初は、なぜ大将青雉からも報告書の依頼が来るのか分からなかった
ガープ中将ならば、孫の安否を心配して少しでも情報がほしい気持ちはあると思う、だがなぜ大将青雉が?
答えは部隊内の会員の証言から分かった
“同志”であるらしい
それを聞いた時、たしぎの大将青雉に対する尊敬の念にひびが入った事は内緒である
「何だって?そんなやつ、俺は知らねえぞ?」
ガープ中将に大将青雉、そんな大物から注目される存在のことも、自分の部下に勝手にそんな仕事を頼まれていたことも知らなかった
「え?本当にイリスさんの事知らないんですか?」
当時かなり話題になっていた手配書なのにターゲットと決めた“麦わら”の事しか眼中になかったらしい
スモーカーらしい、と口元に笑みがこぼれ
たしぎは、また拳骨をもらった