第21章 砂の国
「……………………………………」
最低な男だと見下していたイリスの恋人に自分の思いが一方的なものだったと、さとされたサンジ
茫然とした中で今までの考えを思いおこしてみる………
確かにサンジはイリスの手配書をみて好きになった、恋人であるエースにされた仕打ちを聞き、自分ならもっと大切にできると思ったし、彼女の旅はエースに別れを告げる為だと勝手に思い込んでいた
イリスの気持ちを少しも考えの中に入れてはいなかった自分が恥ずかしく、フェミニストを自称する己が見た目だけに群がる男どもと同程度だった事に落ち込む
そして目の前にいるエースの対応に“男”としての差を見せつけられ更に深く落ち込む
仲間達に目をやれば、心配した顔や安心した顔、成り行きがわかって無いが心配そうな顔に蔑む目をした緑髪の男(後で殴ろう)が見えた
会った事もない人を思うより今、目の前にいる仲間を大切にしよう、そしてもし、イリスお姉さまに会えたらその時は…………
すべてはイリスに会ってからだと、サンジの気持ちに落ち着きが戻ったのだが
「サンジ、もしイリスに会えたら口説いてみろよ!」
「「「はあ??」」」
エースの突拍子もない発言に一同唖然
いったい何を言い出すのか……
えっ?いいの?自分の考えは間違って無かった?、と、サンジの気持ちが再燃しようという時…………
「やるだけ無駄だが、やるなと言ってこっそりやるだろ?だから思いっきり口説いて、思いっきり振られてこいよ」
笑うエースの目は笑っていなかった
これは、あれだね…………
いいよと言っておいて本当にやったら怒るってやつ
大人の対応で余裕を見せつけてはみたものの、やはり隠しきれない感情が漏れでるようで口調の端々にキツイものがあった
イリスが心変わりする訳がない!と言う絶対の自信からの提案と言う名の嫌み
サンジがイリスに直接会おうが、何をしようが無駄だと暗に言っていた
結局エースもイリスに関しては大人に成りきれていない只の男だったのだ