第21章 砂の国
「ん?誰だ、こいつ」
突然けんか腰で来られてもエースにはさっぱり分からない
「コックのサンジ!メシ超うめぇんだ!!」
「まじ?オレも食いてえなぁ~」
ニコニコとサンジを見ながら話す二人は、先ほど街でたらふくメシを食ってきたばかりのはずなのにもうメシを作れと催促する
どの料理がうまいだとか、どれだけ食べれるだとかメシの話で盛り上がる
このままでは話にならないと、サンジは後で作ってやるから質問に答えろと話しを戻した
「じゃあ何か?サンジは俺がイリスと別れればいいと?」
「ああそうさ!だが、あんたが別れを切り出す必要はない、イリスお姉さまが一発ぶん殴って今までのあんたの行いに引導を渡してくれるだろうさ」
そして自由になったお姉さまは俺らと旅をするんだ…………
「「…………………」」
ポカンとするエースとルフィ
ウソップとチョッパーは?マークを浮かべる
サンジをバカにした目でみるゾロ
ナミとビビは可哀想な人を見る目をしてる
なんかいい感じ風に語ってはいるのだが
所詮は妄想
サンジの脳内でイリスの事が都合のいいよう解釈されていた
エースもその事がわかっている様で
「で、サンジはイリスが好きなのか?付き合うのか?」
「もちろんだとも!」
「あいつに会った事も無いのに?」
「それは……これから………」
「あいつの声も、あいつの好みも、仕草も何も知らねえのに?」
「うっ!…………」
「あいつの手配書を見てそう思った野郎が、世界中にごまんといるんだろうな」
「ぐっ………」
「あんたもその中の一人って訳だ」
「…………」
自分の恋人に懸想している男なんて問答無用で殴り倒すエースだが、その恋人が手配書のせいで有名人になってしまい、サンジの様なやからがいる事も不本意ながら知っている
そんな輩をいちいち相手にはしていられない(度が過ぎる奴は容赦なくぶん殴る)ので、エースは大人の対応を身につけていた
サンジの態度はデカイが、イリスとの約束を破った事に対する怒りは女性を大切に思う故だと思うし、俺とのケジメをしっかりつけてから付き合おうという所も好感がもてる
だからサンジには“大人の対応”の方にした
そして弟の大事な仲間でもあるのだから