第21章 砂の国
「どうもみなさん、ウチの弟がいつもお世話になって迷惑かけています」
「いや、まったくそのとおりで……」
トラブルメーカーなルフィに普段から世話を焼かされている麦わらの一味達は素直に頷く
「お前、俺のいない間、イリスにも迷惑かけてたんじゃねえか?」
「……!!」
イリスの名前に反応したのはサンジ
登場に驚き、忘れていたがこの男がイリスお姉さまの恋人だったと
ライバル心むき出しでエースの言動に注目する
「姉ちゃんに迷惑なんてかけてねぇよ~!!逆にエースに迷惑かけられたけどな」
エースがイリスを残して島を出ていった後
怒りと悲しみとイライラと傷心を抱えたイリスは、それらをぶつける相手が不在なのでルフィやダダン達を捌け口にしていた
エースに対しての愚痴や自分自身の鈍感さといたらなさを聞いてもらい、なぐさめてもらったりしていたのだ
自分が居なくなった後の島での様子を初めて聞いたエースは、なかなかに神妙な顔をしていた
イリスと別れて三年あまり
その間の様子を知ることは今回ルフィと会いたかった目的の一つでもある
「姉ちゃん怒ってたぞ~」
「だろうな」
「ぶん殴るって言ってた」
「…………マジかよ……」
まあ、一発くらいなら仕方ないか?それだけの事はしたわけだし…………
自分を納得させるようにつぶやくエース
そこへサンジが噛みついた
「大事な人との約束も守れないような男に、イリスお姉さまは釣り合わないんじゃねえか?」
ルフィとエースの前に進み出たサンジに皆の注目が集まる
ハラハラとサンジを取り押さえようとしているビビ
呆れた顔で冷たい視線を送るゾロ
ウソップとチョッパーは何が起こっているのか分からないがわたわたしている
ナミは事の成り行きを冷静に観察していた