第21章 砂の国
「ばもぼいもめういっ!!」
(あの時のケムリ!!)
分かった瞬間、頭が身体に危機を知らせる
食べてる場合じゃない、と
口の中で咀嚼中だった料理を盛大に吐き出したルフィ
当然目の前にいたスモーカーにそれはかかる
そんな事を気にする様子もなく、ルフィは残りの料理を口に詰め込み一目散に店から飛び出し逃げて行った
無視された挙げ句に、人として失礼極まりない行為を受けたスモーカーは怒り心頭で相手を追いかける
その後ろから、瓦礫から起き上がったエースが二人に続く
騒がしい三人が去ったメシ屋は嵐の後のよう
実際、店内はメチャクチャで本当の嵐が通過していったかのようだった
壊れたカウンター
数軒先まで続いている壊れた壁
「……………………食い逃げ」
可哀想な店主のつぶやきは、三人に届く事はな無かった
ルフィは逃げる
スモーカーが自分の技が通じない相手だと、身を持ってわかっているから
何故こんな所にいるのかは気にしない
今は逃げる事がすべてだった
後ろからはスモーカーが身体をモクモクとした白い煙に変えて追いかけてくる
走っても屋根に飛び移っても引き離す事は出来ない上に、そうしている間にも続々と彼の部下が集まって来ていた
スモーカーの視界から逃れる為にルフィは細い路地を何度も曲がる
一瞬、後ろに余裕が出来たと思ったら今度は前方から道幅いっぱいに海兵が迫って来ていた
「捕まえろ!!」
「“麦わら”だぁ!!」
「あの“傾国の天使イリス”の弟だぞ!」
「逃がすなぁァ!」
「マジかよ?イリスと全然似てねえ!」
「かかれぇ!!」
「ファンクラブ会員としては、何とか繋がりを…………」
「捕まえてイリスさんの情報を聞き出すんだ!!」
「アイツは弟だ!囮に使えるぞ!!」
士気が異様に高い海兵がちらほら……
いや、半数近くいる
ルフィは迫りくる海兵から姉イリスの名前が出てきたことに驚きつつも、走り速度を緩めることなくその中に突っ込んで行った
「お前らぁぁァ!姉ちゃんに何しようとしてんだァ!!?」