第21章 砂の国

にらみ会う二人を吹っ飛ばし、カウンターに座るのは麦わら帽子の男



彼の到着と同時に出来た壁の穴は隣り合う家々を繋ぎ、一本のトンネルとなっていた

トンネルの先を覗きこむ人々を無視し食事をねだる男は、自分の仕出かした事が分かっていないようで、店主の“逃げた方がいい”との問いかけにも答えず黙々と料理を平らげていた




トンネルの先端

瓦礫と共にうずくまるエースは一瞬、何が起こったか分からなかった、対峙した相手がいきなり構えを無視して自分に突っ込んできたのだから無理もない


状況から考えて誰かが横槍をいれて来たのは確実


今まさにやり合おうという、絶妙なタイミングでの不意討ち
文句を言わなきゃ気がすまない



「あの野郎……どこのどいつだ！？ふざけやがって～」



憤慨しながら壁トンネルをさかのぼる

その中でも人様のお宅にお邪魔する時はきちんと挨拶をするエース
こういうところで、かつてマキノに教わった礼儀作法が活きている





元いた店にたどり着いたとき、カウンターには勢いよくメシを食う麦わら帽子の男がいた



「！！…………ル」



まさかと驚き、声をかけるのに戸惑ったその一瞬のせいでエースはまた瓦礫の中に舞い戻った







いきなり背中に衝撃を受け、目の前の海賊に突っ込んだ
店のカウンターを壊し、壁を壊し、隣り合う家を壊してしまった

こりゃ始末書ものだなと、ため息が出るが、目の前の大物海賊に気をとられ過ぎて周囲への警戒を怠った自分にも反省すべき点はある


しかし今、相手にしなければならないのは“白ひげのとこの火拳”に、“後ろからの謎の敵”

火拳と後ろの敵が仲間の可能性を考える
その場合、白ひげの一味か？
頭で勝率を弾き出すが、不確定な要素をいくら考えても仕方がない


落ち着く為に葉巻を取りだし、火を着ける



「………………ッ！！？」



周りの瓦礫を押し退け、壊れた壁から店の中を見たスモーカーは驚きのあまり今まで考えていた事など、どうでもよくなった



そこには彼がこの国に来た理由


今、一番捕まえたい海賊
モンキー・D・ルフィがいた