第20章 無理難題からの絶対絶命
「えっ………えぇっ………?」
その言葉に驚いたイリスは顔を上げ
続きを待つようにローをじっと見つめる
「俺じゃなく自分の身体をよく見てみるんだな……昨日と何か違いがあるか?」
ローは呆れるようなため息をつき
イリスを“自分で気づけ“とばかりに
軽く睨み付けた
その言葉と視線に促される様にイリスは自分の身体を確認した
結果
変わりなかった
身体の外にも中にもまったく異常なし
海楼石の手錠をつけてた手首が赤くなってる以外は身体のどこにも傷ひとつ無かった
「…………えっと…………どうして?」
自分の一糸纏わぬ姿から、てっきり情事後だと勘違いしていたイリスだが、段々と気を失う前の事を思い出してきた
無理やり部屋に連れて行かれて
ベットに転がされ
船長さんに服を剥ぎ取られ……
「…………??」
その先を思い出せずに困惑しているイリスにローは確信をもって言い放つ
「お前、××××××だろ」
夜が明けて
海上に浮かぶ潜水艦の甲板は人で埋め尽くされている
ローが約束道理イリスらの出発を許可したので、船員全員で見送りにでていた
ローの後ろに控えるペンギンらは、目の下に隈をつくり、眩しい太陽に目を潜めながらも何とか整列し、イリスとの別れを惜しむ
一方、イリスの後ろに控えるグレイスは憤怒の表情で彼らを………いや、ローを睨み付けている
食堂でローに敗れ、バラされ、汚ない倉庫に一晩放置
朝、イリスに身体を直してもらうなり、ローに飛びかかって行きそうなグレイスの怒りをイリスは何とかなだめて、ようやく出発にいたる