第20章 無理難題からの絶対絶命
幸せな微睡み
今が夢とも現実とも分からない
まぶたに光を感じ、眉を寄せる
頭はぼんやりとして、まだ目を開けられない
サラリッとしたシーツの感触を楽しむ
モゾモゾと手足を動かし伸びをする
……………動か…し…?
唐突に意識を取り戻した、イリスは青い瞳をパチリと見開いた
手首にはめられた海楼石の手錠はもう無い
(…………ッ!)
周囲の確認もせずガバッと起き上がったイリスだが…………
「…………?」
背後に気配を感じ振り向く
そこには…………
「起きたか…………お前、背中もキレイだな」
ローと静かに目があった
イスに深く座り、足を組み、ひじ掛けに乗せた腕で頭を支える
なんとも寛いだ体勢でじっとイリスを見ている
「えッ…………っ!!」
言われた言葉どうりイリスは背中丸だし
身体はシーツが掛けられているだけで全裸だった
「ッ……!」
勢いよくシーツを手繰り寄せ、頭からすっぽりと被り丸まる
早鐘の様に打つ心臓
(あれからどうなったの………?)
食堂からこの部屋へと移動して
船長さんと話して……………
それから……?
自分の記憶を必死に手繰りよせ、思いだそうとするが、今わかるのは全裸の自分と、それを見た男が同じ部屋にいると言うことだけだった