第20章 無理難題からの絶対絶命
「イリスどうなったの~?」
「船長は本気なのか?」
「その…やっぱり……ムリやり…………?」
ベポを始め、皆イリスの心配をしている
彼女に仲間になって欲しい気持ちはあるものの、彼女の嫌がる事、悲しむ顔を見たく無い、でも船長は怖いと言う複雑な心境………
自分と同じ考えだった仲間達に安堵するも、ペンギンはもう一人の仲間の声に冷やかな視線を向けた
「なぁペンギン、今ごろ船長とイリスちゃんは………」
目じりを下げ、鼻の下を伸ばしながらムフフッと言う声が聞こえてきそうな顔のシャチがそこにいた
どんな様子かな~?何か教えろよ!と、詰め寄られるが……
無言で頭に鉄槌を食らわせてやった
シャチは頭を押さえながら抗議の目を向けてくる
「そんなに知りたきゃ、扉の前で聞き耳立ててろよ」
船長にバレたら地獄行きだけどな、と付け加えるとシュンと大人しくなった
まったく……空気読めっての………
「ところで、グレイスさんはどうなったんだ?」
自分がイリスさんを抱え、食堂を出たときは船長と睨み合ってた
あれから彼(彼女?)はどうなったのか…
まさか殺してはいないだろうが、船長が邪魔者を放置するとも思えない
「えっと、船長にバラされて倉庫に…………」
話によるとあの後、二人は食堂で殺りあって、船長が勝ち、グレイスさんは、バラされてふん縛られて倉庫に転がされているらしい
「そっか……まあ生きてりゃいいか………」
知りたい事は分かったので、皆にも俺が知っている事を話した
イリスさんを船長室に運んだ事、助けてと懇願された事、廊下で船長に釘を刺した事、上機嫌な船長に軽く流された事………
これからどうなるかの不安と心配で食堂の空気はどんより重い
皆が神妙に静まる中
またしてもシャチの奴が何を想像したのやら、頬を染め、鼻から赤い液体を垂れ流している
勿論、俺はシャチの頭にもう一度鉄槌を食らわし、皆からも遠慮なく叩かれていた
(明日の朝、一体どうなるんだろうか………)
ハートの海賊団、クルー達の夜は長い