第20章 無理難題からの絶対絶命
「なぁ」
「…………………」
「おいっ」
「…………………」
「おいっ!!ペンギン!」
「なんだよっ、………お前ら……」
鬱陶しげに振り向くと、そこにはシャチ、ベポをはじめとする仲間達が自分に注目の視線を送っていた
数分前
扉を閉め、耳に残るイリスの助けを乞う声を振り切り食堂へと戻る
命令とは言え、船長室にイリスを放り込んだ小さな罪悪感は消えない
イリスに言った事は確かに本心だ
このまま仲間になって欲しい……
だが、だからと言ってこんなやり方しか無かったのか?
モヤモヤした考えのまま歩いていると、船長が正面から歩いて来る
このまま部屋に行くのだろう……そして……
「あの、キャプテン…………」
無言のまま、すれ違ったローの背中に意を決して声をかけた
「乱暴なことしないで下さいよ?」
「……そりゃ、あいつ次第だな…………」
振り返ったローは上機嫌な口調で、意味深な言葉を残し、また歩き出しペンギンの視界から姿を消した
自分に出来るのは精々このくらい
たいした抑止にもならない
言葉を吐くのが精一杯…………
食堂に戻り、自分の不甲斐なさに暗くなっている所に声をかけてきたのがシャチ
そして振り返ると仲間の視線が痛かった
「なんだよ、なんか用か?」
素っ気なく返すペンギン
「なっ………ペンギン、そりゃねぇよ~」
な~?と、周りに同意を求めれば全員が頷く
イリスが連れ出され、ローが出ていった食堂で、彼らはその後が気になって仕方なかったのだ………