第19章 ハートの海賊団にて・その2
しかし、なかなか思ったように稼げなかった
冬島だったたので真っ白い羽根にそれほど珍しさが無かったのと、スカーレッ島の時のように露店を開けなかったのが致命的だった
雪に覆われた街で露店など開いたら商品も売り子も瞬時に凍りついてしまう
仕方無く街にある雑貨屋に持ち込んで買い取ってもらったのだが、真っ白な街で真っ白い羽根の需要は低く、安く買い叩かれてしまった
「困っちゃったわよね~」
「命の恩人に対する謝礼としては少ないわ!」
“二人の命の恩人”
本当に感謝しているし、それに見合ったお礼もしたい
しかし、自分達には手持ちの物資が少ない
次の島まで待ってまた稼ぐ?
それとも………
「あっ!グレイス、私わかったわ!」
「えっ?な……何を?」
イリスの自信に満ちた表情に不安を感じる
「足りない分は気持ちでカバーするのよ、二人でお手伝いしましょ!」
要するに足りない分を労働で返そうと言う意味だろう
しかし、体力が男のグレイスはともかく、非力なイリスがこの船のクルー達より仕事が出来るとは思えなかった
闘えば強いのだが、そんなことをさせるとも思えない
イリスに出来る事と言えば
“炊事、洗濯、家事全般”
そんな事ではいつになったら恩を返せるのか…………
「イリスちゃん、それじゃいつ出発出来るか解んないわよ?やっぱりここは、このお金を置いてこっそり出て行きましょうよ………」
グレイスにとっては結構まともな提案だったのだが、イリスにしたら論外だった様で
「何言ってるの?!ダメダメ、そんなの絶対ダメよ!ちゃんとお礼しなきゃ出発しないわ!」
ちょっと興奮気味に怒りだしてしまった