第19章 ハートの海賊団にて・その2
~ペンギンとシャチが出会う少し前~
食堂を出たイリスは操舵室の場所を聞いてくるんだった、と後悔した
船内には似たような扉がいくつもある、自分が艦のどこら辺に居るか分からない………
「えっと……操舵室は…………」
キョロキョロしながら歩くイリスの後ろからいきなり声がかかる
「操舵室に何の用だ?」
「あっいえ、操舵室じゃなくて、船長さんに用があるんです」
「…………オレに何の用だ?」
「ちょっとベポ君と…の………ン?」
今、誰と話してるの?
捜すことに夢中で誰かも確認せずに返事をしていたイリスは、漸く声の主に顔を向ける
振り返るとそこには、真後ろまで迫った船長ローの姿があった
「わっ!船長さん、いつの間に?操舵室にいるって聞きましたよ?」
「用が終わったから出てきた、お前がウロチョロしてるのが見えたんでな…………」
(なんか恥ずかしい………ずっと見られてたなんて………)
近すぎるローと数歩下がって距離をとり
うつむき、視線をそらすイリス
うっすらと頬を赤らめて恥ずかしがるイリスに、ローは何だか胸がモヤモヤした不思議な気持ちにおちいった
「あの……船長さんにお聞きしたいことがあって………実はベポく」
「待て、立ち話も無いだろ……そこの部屋に入れ」
話を遮り、近くの扉を指差すロー
言われるままその部屋に二人で入っていった
その部屋は物置のような、材料庫のような………薄暗い部屋だった
並んだ棚と、そこに収められた道具や薬瓶、薬の素材になるのか、植物が鉢ごと置いてあった
真ん中のスペースに休憩用にかソファが1つ置いてあり、そこに座るように促された
ドカッと足を広げ深く腰かけるロー
イリスは、そんなローの邪魔にならないようにソファの隅でちょこんと小さく座る