第18章 不器用な男達
(やっぱりね……あの時、妙に落ち込んでたから)
喰わえたタバコを落としかかって、わたわた慌てるサンジを見ながらナミは確信する
ルフィからお姉さんに恋人がいると聞いた後の落ち込み方は、相当なものだった
会ったことも無いのにそこまで?と思ったが、それほどあの手配書に衝撃を受けたと言うことだろう
「サンジ君らしくないわね?恋人がいようと関係なく女の子に声かけるくせに」
初めて会ったレストラン“バラティエ”で、連れの男がいるにもかかわらず、堂々と客の女性を口説いていたサンジとは思えない
「…………」
押し黙り、神妙な面持ちでうつ向くサンジ
「…………」
「…………」
沈黙の三人
(これは重症ねぇ~)
現状打破と、サンジに希望を与えるため、ナミは隣で肉にかぶりつくルフィに話しかけた
「ねぇルフィ?お姉さんの恋人ってどんな人?」
「……ッ、!!」
(えぇ~ナミさん、それ聞いちゃうの?)
ビビの驚きと、サンジの悲痛な顔を無視してナミは続ける
「エースさん、だったかしら?お姉さんと一緒にいるのに、彼の手配書は無いの?」
確かに
男の方に手配書が出ないなんて怪しい
よっぽど弱いとか……?
わずかにつけ入る隙を見つけたサンジは、口の端を上げ、ルフィの返事を待つ
「ヒッヒョシャヘエ、フェーフホ、ヘーヒャフホホヒヘヒッヒマッハァンタ~」
肉を頬張ったまま答えるルフィ
またしても何を言っているのか分からない………
相変わらず行儀が悪いとサンジにたしなめられ、全てを飲み込んでからまた話す
「一緒じゃねえよ、エースは、姉ちゃんを置いて行っちまったんだ」
「はぁぁ~?」
「え?」
「どう言うこと?」
「「ん??」」
「…………」
驚きの声を上げた三人につられ、食事中のウソップ、チョッパー、ゾロもこちらの話に注目しだした
「三年前に姉ちゃん残して、島を出て行っちまったんだ」