第18章 不器用な男達
「ビ~ビちゃ~ん!どうしたの?俺に惚れちゃった?」
目が合い、反射的に反らしてしまったビビに、無駄にいい声を出しながらサンジが迫ってきた
「え!あっ、あの……ちが……違うんですッ」
しどろもどろになりながら、ビビは隣のナミに助けを求める
「サンジ君、お疲れ様!ちょっとそこ座って」
二人の前の席を指し、にこやかに席を勧める
(そうよナミさん、やんわり遠回しに!)
いい感じ、とビビが心の中で呟く
「何?何?ナミさんまで俺に惚れちゃった?」
「サンジ君、最近料理が手抜きじゃない?何かあったの?」
ガツンッ、
ビビは、遠回しどころか、いきなりド直球で核心をつく質問に驚き、テーブルに突っ伏してしまった
「うおっ!どうしたんだ、ビビちゃん?」
「ちょっと大丈夫、ビビ?」
赤くなった額を押さえ、顔を上げると心配そうな二人と目があう
ハハハッと曖昧な笑いで、なんでもないと告げるも不審がられてしまった
(ナミさんったら、全然やんわりしてないわよ~!)
後で聞いた話では、ナミにとっての“やんわり”とは、一声かけて、席を勧めた時点で終わっていたそうだ
「胸ぐら掴んで捲し立てるよりは、良かったでしょ?」
そうカラカラ笑うナミさんを、ちょっと怖いと思ったのは誰にも内緒
「で、サンジ君?何があったの?」
サンジの方に向き直り、改めて切り出す
ナミの真剣な口調にサンジも真面目な顔をして答える
「ごめんよ、二人とも………最近ちょっと考え事してて、食事が手抜きになっちゃったんだな……」
豪快な大皿料理ばかりがが並ぶテーブルを見て、すまなそうにうつ向く
「考え事ね~」
(作るのが嫌になったとか、私たちの事どうでもいいって思ってなくて良かった)
ほっと、胸を撫で下ろすナミ
そして、一つの原因が思いあたった
「ルフィのお姉さんの事かしら?」