第18章 不器用な男達
「なッ!何だぁ?」
驚くエース
二人を見れば、“あぁそうだった”みたいに、顔を見合わせている
「エース!!親父が呼んでんだった、敵船が近づいて来てるから二番隊で先陣きれってさ」
サッチがこの部屋に来た本来の目的を果たし、ティーチに同意を求めた
「ティーチもそれを伝えに来てたんだろ?」
「ああ、早くしないと親父にどやされるぜ?」
ゼハハハハッ!と豪快に笑うティーチにつられて、サッチも一緒になって笑い出した
「そッ…そう言う事は、先にに言えよな!」
二人に悪態をつき部屋を飛び出すエース
激しく揺れ始めた船、折角片付けたと言うのに床に物が散乱して余計に酷くなった
甲板へと向かうエースの背中をサッチとティーチは見送る
「あいつは根っからの海賊だな………」
「ゼハハハハッ!ちげぇねぇな!この子より親父の方が好きなんじゃねぇか?」
ティーチは、イリスの手配書を一枚拾い上げてサッチに見せる
「フッ………かもな?二人を前にした時のエースの顔が楽しみだな」
ニヤリッと笑って「それ、寄越せよ」と、手を出すサッチ
「“私物”だからダメだ」と、断るティーチの顔もニヤリッと笑っていた
「クックックッ……!」
「ゼッハハハハッ!」
絶え間なく砲撃音が鳴り続けていた
しかし、一瞬静かになったと思ったら、今度は野太い男達の鬨の声が船内に鳴り響いた
エースが二番隊を率いて敵船へ乗り込んで行ったようだ
「さぁ俺たちも行くか」
「ああ、お宝、獲りっぱぐれちまうぜ!」
二人はエースを追いかけ、敵船へと向かった
エースがこの二人と言葉を交わしたのは、これが最後となる
次にこの二人が顔を合わせたのは、一人が既にこの世を去り、その虚ろな瞳にもう一人の姿を写した時
残った一人も秘密裏に白ひげの船から姿を消し、エースと会う事はなかった