第18章 不器用な男達
嫌な奴に見つかったもんだ
俺がイリスの手配書を集めているのを知っているのは、マルコ、とマルコが話した親父
二人共にからかわれたが、他の奴等に話すような人達ではないのでOK!
そしてティーチも体型通りのおおらかな奴だ
サバサバした性格で、プライベートには深く突っ込んでこない(悪く言えば仲間達と一線を画している)
こっそり頼めば、黙っていてくれるだろう
ここまでは何とかセーフだったのに、サッチの野郎に見つかってしまうとは………
一番、見つかりたくない奴だったのに……
イリスの手配書を初めて見た日
サッチと殺り合い、親父にキツいお灸を据えられた事を思い出すエース
こいつにイリスの手配書が渡ったら………想像するだけで頭に血が上る
部屋に、ずかずかと入り込んできたサッチに向かってエースは、眉間のシワを深くして対応した
「私物に勝手に触んじゃねぇよ!」
突きつけられた手配書を引ったくり、侵入を妨げるように正面から向き合う
「私物だぁ?新聞は皆のもんだろうが、独り占めしてんじゃねぇよ!」
バチバチと火花を散らし睨み合う
その険悪な雰囲気の部屋の入口では、ティーチが二人をニヤニヤと眺めていた
犬猿の仲の様な二人
喧嘩するほど仲がいいと言うか、同族嫌悪と言うか、顔を会わせれば何かしら言い合っている
そんな二人の対処も仲間達は既に慣れたもので、本気では無いのは分かっている為、敢えて直ぐには止めない
サッチの弟分を可愛がる過剰な気持ちも、エースの素直じゃない憎まれ口も、皆、微笑ましく見守っている
「お~い、エース隊長にサッチ隊長!そろそろ上……に…………!!」
「「ッ………!!!」」
いつもの事だと二人を見据え、そろそろ仲裁しようと口を開いたティーチの言葉は、船を揺らす砲撃の爆音にかき消された