第18章 不器用な男達
~麦わら海賊団~
「ねぇビビ、知ってる?ルフィにはお姉さんがいるのよ」
甲板で日光浴をしながら、ナミは隣の女性に話しかける
ある経緯で彼女を国まで送り届ける事となり、麦わら海賊団は今、彼女の国”アラバスタ王国”に向かっている
ナミとも仲良くなり、和やかな雰囲気だ
「ええぇ!!そうなの?知らなかったわ!」
ナミの話しに興味津々で食いつく
兄弟のいないビビにとって、新鮮な話題だった
「すごく美人で、懸賞金もルフィより高いんだから!」
「ホントに?手配書を見てみたいわ」
「それが駄目なのよ、ルフィが隠しちゃってさ~私も1回しか見てないの」
やれやれと肩をすくめるナミ
「あいつシスコンみたいだから」
「へぇ~意外ね!でもいいなぁ~お姉さんってあこがれるわ」
「だよな~あいつにお姉様は勿体ない」
女子トークにスルリと自然に入り込む人物
片手にトレー、片手に湯気の立つポット
勿論トレーの上にはカップと、綺麗なお菓子が乗っている
「お嬢様方、アフタヌーンティーは如何でしょうか?」
「わぁ、サンジ君ありがとう」
「ありがとう、サンジさん」
「今日のおやつは、お口の小さなレディにピッタリな、ミニマカロンでございます」
恭しく目の前に差し出された、色鮮やかなお菓子たち
一口サイズのマカロンを口に含むと爽やかなフレーバーが鼻に抜ける
「んー!サンジ君、コレすごく美味しい!」
「本当!こんなの食べたことないわ!」
美女二人からの賛辞に鼻の下を伸ばし、海に向かって叫ぶ
「んんぅん~~~しあわせ!!!」
その声につられて、わらわらと男共が集まる
「おいサンジ~オレらの分は?」
「男女差別は、しないで下さ~い」
「俺も食べたいゾ~!」
ルフィ、ウソップ、そしてチョッパーがお菓子をよこせと訴える
小柄なトナカイの鼻は、真っ青
別に寒い訳ではなく、生まれつきらしい
新しく迎えた船医トニー・トニー・チョッパー
早くも、この一味に馴染んでいる
「おめぇらのはキッチンにある、茶は自分で入れろよ」
言い終わる前にキッチンへと駆け出していく三人
ルフィの背中を見ながら、サンジはボソッと呟く
「あぁ~イリスお姉様にも食べて貰いたいな~」